
Windows 10 バージョン22H2向けにリリースされた2025年5月度の累積更新プログラムKB5058379についての情報まとめです。主要な改善点、報告されている既知の問題を記載します。
更新プログラムのハイライト
Windowsの脆弱性を修正
Linuxシステムの検出とSecure Boot Advanced Targeting (SBAT)を改善
KB5058379には2025年4月23日に配信されたプレビューリリースKB5055612の内容が含まれています
既知の問題
BitLocker回復画面と起動の問題
KB5058379のインストール後、一部のWindows 10デバイスが予期せずBitLocker回復画面を表示したり、Windows回復環境(WinRE)に移行したりする問題が報告されています 。この問題は、特にIntel Trusted Execution Technology (TXT) が有効になっている第10世代以降のIntel vProプロセッサを搭載したデバイスで発生しています。
この問題は、更新プログラムのインストール中にLocal Security Authority Subsystem Service (LSASS) プロセスが予期せず終了し(ステータスコード -1073740791)、その結果として自動修復がトリガーされます。BitLockerが有効になっているデバイスでは、この自動修復プロセスを進めるためにBitLocker回復キーの入力が求められます。この問題は主に企業環境のクライアントに影響すると考えられています 。これは、Intel vProプロセッサが企業環境で広く使用されているためです。一部のユーザーは、BitLockerが有効になっていないデバイスでも「デバイス暗号化」機能によって同様の問題が発生したと報告しています 。
関連するエラーコードと症状としては、システムイベントログにイベントID 20(エラーコード 0x800F0845: 「Installation failed: Windows could not install the following update...」)が表示されることがあります 。また、イベントID 1074(lsass.exe
の予期せぬ終了)も報告されています 。最悪の場合、デバイスが複数回起動に失敗し、自動修復をトリガーしてBitLocker回復画面に戻る「再起動ループ」に陥る可能性があります。一部のWindows 11ユーザーからも同様のBitLocker問題やBSODが報告されていますが、KB5058379はWindows 10向けです 。
Microsoftは2025年5月19日に、このBitLocker回復問題とBSODを修正するための緊急の更新プログラムKB5061768をリリースしています。この緊急修正プログラムは通常のWindows Update for Business (WUfB) やWSUSでは提供されず、Microsoft Update Catalogから手動でダウンロードしてインストールする必要があるので注意が必要です。
CJKテキスト表示の問題
Chromiumベースのブラウザで96 DPI(100%スケーリング)を使用している場合、CJK(中国語、日本語、韓国語)テキストがぼやけたり、不明瞭に表示されたりする既知の問題が報告されています。回避策として、ディスプレイのスケーリングを125%または150%に上げること。
Citrix Session Recording Agent: Citrix Session Recording Agentバージョン2411を使用しているデバイスでは、更新プログラムの再起動段階でインストールが完了しない問題が発生する可能性があります 。これは、エンタープライズ環境における重要な互換性の問題であり、特定の業務アプリケーションに依存する組織では、展開前に互換性テストが不可欠であることを示唆しています。
Linuxデュアルブートデバイス: 2024年8月のセキュリティ更新プログラムに起因する問題により、一部のLinuxデュアルブートデバイスで起動失敗が発生する可能性があります 。KB5058379はこの問題を修正していません。
ERROR_INSTALL_FAILUREメッセージ: Windows Update設定に「ERROR_INSTALL_FAILURE」というエラーメッセージが表示されることがありますが、Microsoftはこれがシステム機能に影響。
参考
Microsoftサポート 2025 年 5 月 13 日 — KB5058379 (OS ビルド 19044.5854 および 19045.5854)