Copilot+ PCは、AI処理が超得意なWindows11 PCです。
Copilot+ PC には、40TOP (1 秒あたり1兆回の演算) を誇るニューラル プロセッシング ユニット (NPU) が搭載されています。
通常のPCには一般的なタスク処理用の CPU とグラフィックス用のGPUがありますが、Copilot Plus PCには、AI 機能をローカルで処理するための NPU チップも搭載されています。
Copilot+ PC とは何なのか
Copilot+ PC は、ローカル AI処理をするためにMicrosoftと共同で開発された NPU ベースの PC です。
Copilot Plus PCでは、Windows 11 Recall AIのネイティブ サポート、AIアップスケーリング、Studio Effects、ライブ キャプション、デバイス上の AI 画像生成などが可能になります。
ChatGPT、Copilot、Gemini などの AI 機能はインターネット接続が必要で、すべてクラウドで処理します。
たとえば、Copilot Webを使用するとデータはMicrosoftに、ChatGPTを使用するとデータはOpenAI に送信されます。
Copilot Plus PCでは、処理はNPUを使用してローカルで行われます。
つまり、データはMicrosoftサーバーに送信されず、CPUとGPUはAIの処理に使用されないことになります。
Copilot+ PCでは、ペイントやフォトなどのアプリでの独自のAI機能、過去の操作を思い出すのに役立つ"Recall"、Web カメラの改善のための Windows Studio Effects、Copilotなどが使えるようになります。
Copilot+ PC の要件
Copilot+ PC には、最低256 GBのストレージ、16GB RAM、ニューラルプロセッシングユニット (NPU) が必要です。
※このハードウェア要件は、今後リリースされるAI機能の1つ、Windows 11 Recallと同じです。
NPUを搭載していればいいというわけではなく、40TOPs（1秒あたり40 兆回の演算） 以上の性能が必要です。
現行のIntelおよびAMDプロセッサのNPUはこれを満たしていないため、現在Copilot Plusの機能を使えるのはSnapdragon X EliteとX Plus チップのみになります。
先日発表されたMicrosoft Surface ProとSurface Laptopに、Snapdragon X PlusとEliteが搭載されているのは、上記の理由があるからです。
IntelとAMDもこの要件を満たせばCopilot Plusの機能を使えるようになります。
Copilot+ PCは、NVIDIA GeForceやAMD RadeonといったディスクリートGPUではなく内蔵GPUを搭載しているため、Microsoftは、Copilot+ PCをゲーマーのためのものとはしていない意図があります。
IntelとAMDの今後のCPU（NPU性能）次第ですが、ゲームをメインにやりたいユーザーはCopilot+ PCをわざわざ選ぶ理由はなさそうです。
Windows11 Copilot+ PC専用の機能
Copilot + PCの新機能は次のとおりです。
1 Windows11 Recall
Recallは、PCでの過去のすべてのアクティビティを検索可能にする AI ベースの機能です。
RecallはPCの電源を入れた瞬間からスナップショットを作成し、画面を記録します。
Recallでは、簡単なテキストプロンプト（入力）で記録を検索でき、スナップショットの中から、最もリクエストに近い結果を返してくれます。
Microsoftは、すべてのスナップショットの処理と保存はPC 上で行われると説明しています。
正直私は半信半疑ですが、説明通りであればデータはローカルで保存処理されることになります。
Recallについて
- Copilot+ PC では、デフォルトでRecallがオンになりますが、設定で無効にできます
- 設定アプリには、リコール機能を管理するための新しいセクション「Recallとスナップショット」があります
- スナップショットに含まれるデータは簡単にコントロールでき、特定のアプリやウェブサイトを除外することができます
- リコールを一時停止または完全に無効にし、キャプチャされたスナップショットを削除することができます
- スナップショットはローカルに保存され、クラウドにアップロードされることはなくMicrosoft はスナップショットを閲覧できません
- Copilot+ PC 上の他のユーザーは、Recall タイムラインまたはスナップショットにアクセスできません
- Copilot+ PC には、Microsoft Pluton セキュリティ チップと Windows Hello 拡張サインイン セキュリティ (ESS) が搭載されているため、パスワードの代わりに指紋認証、顔認証または PINを使用してログインできます
2 Windows Studio エフェクト
Copilot+ PC の2つ目の新機能は、Windows Studioエフェクトの改善です。
Windows Studioエフェクトを使用すると、不要な背景を取り除いてビデオ出力の見栄えを良くできます。
Windows Studioエフェクトは、バックグラウンドノイズを除去し、アートフィルターを適用することができます。Copilot+ PC では、システム トレイのボタンをクリックして Studioエフェクトを起動できます。
3. 自動スーパー解像度
自動スーパー解像度は、Windows 11上のゲームの全体的なパフォーマンスを向上させるAI アップスケーリング機能です。
NPU のパワーを活用して、PCに必要なパフォーマンスを向上させます。
4. ライブキャプション
Windows11 にはすでにライブ キャプション機能が搭載されていますが、Copilot+ PCではさらに優秀になります。
オフラインで再生中のオーディオまたはローカルに保存されたオーディオファイルを翻訳でき、40の言語がサポートされます。
Microsoft はデータをクラウドにアップロードしないとコメントしています。（本当だろうか）
5. Microsoftフォトの画像再スタイル
写真アプリの「画像の再スタイル」機能を使用すると、WEBのCopilotを使用せずに既存の画像をAIアートワークに変換できます。
スタイルを定義した後、プログラムに画像を調整させるのは簡単です。
プリセットのスタイルも用意されており、画像の背景や前景を調整できます。
AIによる編集レベルは、スライダーで簡単に調整できます。
また、この処理はオンデバイスで実行されるため、Webから画像を生成するよりもはるかに高速に使うことができます。
6. ペイントCoCreator
Cocreator はテキスト プロンプトを使用し、デジタル ペン入力を識別して画像を作成します。
デバイス上でローカルに実行される 5 つの SLM モデルを使用して、テキスト プロンプトと漠然とした落書きから意味のある画像を生成します。
ここで創造性のレベルを調整したり、画像のスタイルを選択したりすることもできます。
7. Copilotの改良
Copilotがアプリになり、独立したウインドウで開けるようになります。
他のアプリやゲームと一緒に使用できます。
画面を共有した後は、問題を解決するためにガイド役として機能します。設定アプリやその他のシステム アプリで、Copilot の提案を見つけることができます。
GPT-4o はすでにリリースされており、Copilot の結果と推奨事項が改善されます。
これらのネイティブ アプリと機能に加えて、Microsoft は多くの人気アプリ ブランドと提携して、その NPU パワーを統合し、活用しています。これには、Adobe、CapCut、LiquidText などが含まれます。
Copilot Plus PC に関する FAQ: すべての質問にお答えします
1. Windows PC と Copilot+ PC の違いは何ですか?
Copilot+ PC は、NPU を使用して、Windows 11 でローカルに最高のパフォーマンスと AI を活用したエクスペリエンスを提供することを目指しています。これらの PC には事前に定義されたハードウェア要件があり、上で説明した Copilot+ PC 機能のほとんどは、これらの PC 専用となります。
標準的な Windows 11 PC は、少なくとも今のところは、Microsoft が発表したこれらの AI 機能をサポートできるだけのパワーを持っていません。Intel と AMD が 40 TOPS 以上のパワーを持つ NPU を搭載した新しいチップをリリースすれば、状況は変わるかもしれません。
これにより、デスクトップ ユーザー (PC をゼロから構築するユーザー) が新しい AI エクスペリエンスを使用できるかどうかという疑問も生じます。
2. Copilot+ PC と Copilot は違いますか?
Copilot+ は、ほとんどの処理をローカルで処理する AI モデルと NPU を搭載した新しい PC セグメントを指します。操作にサブスクリプションは必要なく、はるかに高速です。
Copilot は、Web と Windows の両方で利用できる AI アシスタントです。リクエストを受け取り、サーバー上で処理して、結果を返します。予想どおり、複雑な内容への回答や画像の生成は遅くなります。
Copilot+ はサービスではなく、サブスクリプションも必要ありません。これは PC の新しいカテゴリであり、1 日に処理できるリクエストの数に制限はありません。
Copilot は無料のサービスですが、オプションで有料プラン (Copilot Pro) もあります。アクセスするには Web が必要で、このサービスでは 1 日に実行できるリクエスト (プロンプト) の数に制限があります。
3. すべてのアプリは Copilot+ ARM ベースの PC で動作しますか?
はい、Copilot+ PC ですべてのアプリを実行できます。Microsoft は、すべての一般的なアプリが ARM PC でネイティブに動作することを確認しています。
これには、Chrome、Edge、Firefox、Opera、Slack、Teams、Office、Adobe が含まれます。
人気アプリの ARM バージョンはすでに Microsoft Store で入手可能で、さらに多くのアプリ ブランドが Store や Web サイトでアプリの ARM バージョンをリリースしています。
ARM バージョンのアプリが見つからない場合でも、Copilot+ PC は Prism (エミュレーション エンジン) を使用してアプリを実行できます。エミュレーション エンジンは Apple のエミュレーション テクノロジーよりも高速で、元々 Intel PC 用に設計されたアプリを簡単に実行できます。
4. Copilot+ PC は MacBook Air M3 よりも優れていますか?
現在発表されている Copilot+ PC には本格的なハードウェアが搭載されており、Apple の現在の MacBook ラインナップよりも高速です。
Windows Latest では、新しい Snapdragon X Elite チップと Apple Silicon の GeekBench の結果がすでに取り上げられています。
Microsoft は、Copilot+ PC の方がパフォーマンスとバッテリー寿命が優れていると公言しています。持続的なマルチスレッド パフォーマンスでは、Apple の MacBook Air 15 インチを最大 58% 上回っています。さらに、バッテリー寿命は 20% 長くなっています。
Copilot Plus PC と Apple M3 のベンチマーク比較:
X Elite チップは以前の世代の Apple M よりも高速ですが、Qualcomm の新しいプロセッサにはより多くのコアが搭載されていることを考えると、これは驚くべきことではありません。
5. 既存の Windows 11 PC を Copilot+ PC にアップグレードできますか?
いいえ。ハードウェアの制限により、Copilot+ PC カテゴリは新世代の PC に限定されます。
ただし、Windows 11 では、無料の AI アシスタントである Copilot アプリを使用できます。既存の Windows 11 PC では、Recall や Studio Effects などの独自の機能は利用できません。
6. Copilot+ PC はどこで購入できますか? 価格はいくらですか?
Copilot+ PC は 2024 年 6 月に発売され、ほとんどの PC は 6 月 18 日に出荷されます。
Microsoft、HP、Dell、ASUS、Acer、LenovoなどのPCメーカーは、6月18日に米国、英国およびその他の地域でSnapdragon搭載PCを発売する予定です。
Copilot+ PC の基本価格は 999 ドルからで、Microsoft は同様の仕様のデバイスよりも 200 ドル安いと主張しています。
Copilot+ PC にアップグレードする必要がありますか?
この質問はあなたの好みによります。Recall AI は好きですか? デバイス上で生成 AI を使用して画像やテキストを処理したいですか? 既存のハードウェアよりもパフォーマンスが高く、バッテリー寿命が長い PC を好みますか?
これらの質問に対する答えが「はい」の場合は、Copilot+ PC へのアップグレードを検討できます。
Copilot+ PC の AI 主導のアプローチは魅力的に見えます。AI はほとんどのタスクを簡単に実行できるため、全体的な生産性も向上します。
こうした AI エクスペリエンスを切望したり、仕事や私生活で AI エクスペリエンスが必要になったりしない限り、現在の Windows 11 PC で十分です。