HDMIケーブルは、テレビやモニター、ゲーム機などを接続するための一般的なインターフェースです。
しかし、HDMIには複数のバージョンが存在し、それぞれ性能や機能が異なります。
この記事では、HDMIのバージョンによる違いを詳細に解説し、それぞれのバージョンが持つ特徴やメリットをわかりやすく説明します。
HDMIのバージョンとリリース年
HDMIは2002年に登場して以来、進化を続けており、現在ではバージョン2.1までリリースされています。
各バージョンのリリース年と最大帯域幅は以下の通りです。
バージョン | リリース年 | 最大帯域幅 (Gbps) |
---|---|---|
HDMI 1.0 | 2002年 | 4.95 |
HDMI 1.1 | 2004年 | 4.95 |
HDMI 1.2 | 2005年 | 4.95 |
HDMI 1.2a | 2005年12月 | 4.95 |
HDMI 1.3 | 2006年 | 10.2 |
HDMI 1.4 | 2009年 | 10.2 |
HDMI 1.4a | 2010年3月 | 10.2 |
HDMI 2.0 | 2013年 | 18 |
HDMI 2.1 | 2017年 | 48 |
各バージョンの主な機能と改良点
バージョン | リリース年 | 最大帯域幅 (Gbps) | Key Features and Improvements |
---|---|---|---|
HDMI 1.0 | 2002年 | 4.95 | DVIをベースとした、高画質ビデオとマルチチャンネルオーディオを1本のケーブルで伝送可能なデジタルインターフェース。最大1080pの解像度と、著作権保護技術HDCP 1.0をサポート。 従来のアナログ接続に比べて大幅な改善。 |
HDMI 1.1 | 2004年 | 4.95 | DVDオーディオのサポートを追加。 |
HDMI 1.2 | 2005年 | 4.95 | スーパーオーディオCDで使用されるOne Bit Audioのサポートを追加。 PCとの接続に適したType Aコネクタを導入。 |
HDMI 1.2a | 2005年12月 | 4.95 | HDMI経由で接続されたデバイスのリモートコントロールを可能にするConsumer Electronic Control(CEC)のサポートを追加。 |
HDMI 1.3 | 2006年 | 10.2 | Deep Colorを追加し、より広い色域と正確な色表現を実現。 xvYCC色空間、Dolby TrueHD、DTS-HD Master Audioのサポートが追加。 |
HDMI 1.4 | 2009年 | 10.2 | 3Dコンテンツのサポートを追加し、最大4K@30Hzの解像度をサポート。 オーディオリターンチャンネル(ARC)により、テレビからサウンドシステムにオーディオを送り返すことが可能に。 HDMI Ethernet Channel (HEC) を追加し、デバイス間でインターネット接続を共有可能に。 車載エンターテイメントシステム向けのAutomotive Connection Systemを導入。 |
HDMI 1.4a | 2010年3月 | 10.2 | 放送コンテンツ向けの3Dフォーマットを追加。 |
HDMI 2.0 | 2013年 | 18 | 帯域幅を18Gbpsに増加し、4K@60Hzの解像度をサポート。 これにより、よりスムーズでリアルな映像体験が可能に。 HDRをサポートし、より鮮やかでリアルな画像を実現。 最大32のオーディオチャンネルと、最大1536kHzのオーディオサンプリングレートをサポート。 |
HDMI 2.1 | 2017年 | 48 | 帯域幅を48Gbpsに増加し、最大8K@60Hz、4K@120Hzの解像度をサポート。 Dynamic HDRをサポートし、シーンごと、またはフレームごとにHDR設定を調整することで、より鮮明な映像を実現。 eARC (Enhanced Audio Return Channel) により、Dolby Atmosなどの高度なオーディオフォーマットに対応。 VRR (Variable Refresh Rate) とALLM (Auto Low Latency Mode) などのゲーミング機能により、遅延やカクつきを軽減し、より没入感のあるゲーム体験を実現。 |
HDMIコネクタの種類
HDMIコネクタには、用途に応じて5つのタイプがあります。
Type A (Standard): 最も一般的なタイプで、テレビ、モニター、ゲーム機などに使用されます。
Type B (Dual-Link): Type Aよりも多くのピンを持ち、より高い帯域幅をサポートしますが、現在主流の製品では使用されていません。
Type C (Mini): 小型のタイプで、デジタルカメラやビデオカメラなどに使用されます。
Type D (Micro): さらに小型のタイプで、スマートフォンやタブレットなどに使用されます。
Type E (Automotive): 車載機器向けに設計されたタイプで、振動や埃に対する耐久性があります。
各バージョンがサポートする解像度、リフレッシュレート、オーディオフォーマット
バージョン | 解像度 | リフレッシュレート | オーディオフォーマット |
---|---|---|---|
HDMI 1.0 | 最大1080p | 最大60Hz | 最大8チャンネル、192kHz/24bit PCM |
HDMI 1.1 | 最大1080p | 最大60Hz | DVD-Audio、最大8チャンネル、192kHz/24bit PCM |
HDMI 1.2 | 最大1080p | 最大60Hz | SACD、DVD-Audio、最大8チャンネル、192kHz/24bit PCM |
HDMI 1.3 | 最大4K@30Hz | 最大120Hz | Dolby TrueHD、DTS-HD Master Audio、SACD、DVD-Audio、最大8チャンネル、192kHz/24bit PCM |
HDMI 1.4 | 最大4K@30Hz | 最大120Hz | ARC、Dolby TrueHD、DTS-HD Master Audio、SACD、DVD-Audio、最大8チャンネル、192kHz/24bit PCM |
HDMI 2.0 | 最大4K@60Hz | 最大240Hz | 最大32チャンネル、1536kHz、Dolby Atmos、DTS:X、ARC、Dolby TrueHD、DTS-HD Master Audio、SACD、DVD-Audio |
HDMI 2.1 | 最大10K@120Hz | 最大240Hz | eARC、最大32チャンネル、1536kHz、Dolby Atmos、DTS:X、Dolby TrueHD、DTS-HD Master Audio、SACD、DVD-Audio |
バージョン間の互換性
HDMIの各バージョンは、基本的に下位互換性があります。
つまり、新しいバージョンのHDMIケーブルは、古いバージョンのポートに接続して使用することができます。
しかし、古いバージョンのケーブルを新しいバージョンのポートに接続した場合、新しいバージョンで追加された機能は使用できません。
新しいバージョンが登場した背景
HDMIの新しいバージョンが登場する背景には、ディスプレイ技術の進化とコンテンツの高度化があります。
- 高解像度・高リフレッシュレート化への対応: 4K、8Kといった高解像度ディスプレイが登場し、リフレッシュレートも120Hz、240Hzと高くなりました。これらの高解像度・高リフレッシュレートの映像を伝送するためには、HDMI 1.4までの帯域幅では不十分であり、HDMI 2.0、2.1で大幅な帯域幅の増加が実現しました。
- HDRへの対応: HDR (High Dynamic Range) 映像は、従来のSDR (Standard Dynamic Range) 映像よりも広い輝度範囲を表現できるため、よりリアルで鮮やかな映像を楽しめます。HDMI 2.0aでHDRのサポートが追加されました。
- ゲーミング機能の強化: ゲームの進化に伴い、よりスムーズで応答性の高い映像表示が求められるようになりました。HDMI 2.1では、VRR (Variable Refresh Rate) やALLM (Auto Low Latency Mode) などのゲーミング機能が追加され、ゲーム体験を向上させています。
- オーディオ機能の強化: オブジェクトベースオーディオ (Dolby Atmos、DTS:Xなど) は、従来のチャンネルベースオーディオよりも臨場感のあるサウンド体験を提供します。HDMI 2.1では、eARC (Enhanced Audio Return Channel) により、これらの高度なオーディオフォーマットに対応しました。
一般ユーザーにとって、バージョンアップによるメリット
HDMIのバージョンアップによるメリットは、以下の点が挙げられます。
- より高画質・高音質の映像を楽しめる: 新しいバージョンほど、高解像度・高リフレッシュレート、HDR、広色域などの映像に対応しており、より美しい映像を楽しめます。例えば、最新のネイチャードキュメンタリーを4K HDRで視聴すれば、鮮やかな色彩と驚異的なディテールを体験できます。また、eARCなど、より高音質なオーディオフォーマットにも対応しており、映画館のような臨場感のあるサウンドを楽しめます。
- ゲーム体験が向上する: VRR、ALLMなどのゲーミング機能により、遅延やカクつきが軽減され、よりスムーズなゲームプレイが可能になります。最新のゲーム機やPCゲームで、より没入感のあるゲーム体験を楽しめます。
- 将来への対応: 新しいバージョンのHDMIケーブルを使用することで、将来登場するであろう新しい機器やコンテンツにも対応できる可能性が高くなります。
まとめ
HDMIのバージョンによる違いを解説しました。
それぞれのバージョンが持つ特徴を理解し、ご自身の使用環境や目的に合ったHDMIケーブルを選ぶようにしましょう。
最新バージョンであるHDMI 2.1は、高解像度、高リフレッシュレート、HDR、eARC、VRR、ALLMなど、多くの機能を備えています。
しかし、これらの機能をフルに活用するためには、接続する機器もHDMI 2.1に対応している必要があるので注意してください。