Windows Server環境でクラシックOutlookやMicrosoft 365アプリがクラッシュする不具合が発生しいます。
この記事では、この問題について発生状況や原因、解決策などを詳しく解説し、ユーザーがスムーズに問題を解決できるようサポートします。
クラッシュの発生状況
Windows Server 2016または2019環境において、クラシックOutlookおよびMicrosoft 365アプリ (Excel, Word, PowerPointなど) がクラッシュする事例が報告されています 。具体的には、Outlook起動後に予期せず終了したり 、60通のメールを同時に開くとクラッシュが発生する といった状況が見られます。
この問題は、バージョン 2412 (ビルド 18324.20168) への更新後に発生する可能性があります 。クラッシュが発生した場合、Windows イベント ビューアーのアプリケーション ログに、イベントID 1000 または 1001 のエラーログが記録されます 。
イベントの詳細には、以下のような情報が含まれます :
エラー情報 | 例 |
---|---|
エラーが発生しているアプリケーション名 | WINWORD.EXE |
バージョン | 16.0.18324.20168 |
タイムスタンプ | 0x677832b6 |
障害のあるモジュール名 | KERNELBASE.dll |
例外コード | 0xc06d007e |
障害オフセット | 0x000dcd42 |
エラー処理 ID | 0xb1b8 |
アプリケーションの開始時刻のエラー | 0x01db655766958e10 |
エラーが発生しているアプリケーション パス | C:\Program Files (x86)\Microsoft Office\Root\Office16\WINWORD.EXE |
障害モジュール パス | C:\Windows\System32\KERNELBASE.dll |
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なお、「障害のあるモジュール名」と「例外コード」は、状況によって異なる場合があります 。
クラッシュの原因
クラシックOutlookやMicrosoft 365アプリのクラッシュは、様々な要因が考えられます。
ソフトウェアの互換性: Windows ServerのバージョンとMicrosoft 365アプリのバージョンとの間に互換性の問題がある可能性があります。特に、特定のバージョンの組み合わせでクラッシュが発生することが報告されています 。
Outlookのルール破損: Outlookで設定しているルールが破損していることが原因で、起動時にクラッシュが発生するケースがあります 。これは、サーバー上で設定され、メールクライアントに依存せずにメールを処理する「サーバーベースのルール」が破損しているか、Outlookが処理できない状態になっていることが原因とされています。この問題は、クラウドサービスにおけるデータ整合性管理の課題を浮き彫りにしています 。
ハードウェアの不具合: メモリやハードディスクなどのハードウェアに不具合があると、アプリケーションがクラッシュすることがあります (一般的な観察)。
ネットワークの問題: ネットワークの接続が不安定な場合、Microsoft 365アプリが正常に動作せず、クラッシュする可能性があります。
セキュリティソフトウェアの影響: セキュリティソフトウェアの設定によっては、Microsoft 365アプリの動作を阻害し、クラッシュを引き起こすことがあります。
Office アプリケーションの破損: Office アプリケーション自体に問題がある可能性があります 。
問題解決のための手順
クラッシュの原因に応じて、以下の手順で問題解決を試みてください。
ソフトウェアのアップデート: Microsoft 365アプリを最新バージョンにアップデートします。Windows Updateを実行して、OSのパッチも最新の状態に保ちます。
以前のバージョンへのロールバック: 最新バージョンに更新したことが原因でクラッシュが発生する場合は、以前のバージョンに戻すことで問題が解決する可能性があります 。
- 管理者権限でコマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを実行します。
cd %programfiles%\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun officec2rclient.exe /update user updatetoversion=16.0.18227.20152
Officeが最新バージョンに自動更新されないように、[ファイル] > [Officeアカウント] > [更新オプション] > [更新を無効にする] を選択します。
Outlookのルールの削除: Outlookのルールが原因でクラッシュする場合は、以下の手順でルールを削除します 。
Outlookを終了します。
Windowsの [スタート] ボタンを右クリックし、[ファイル名を指定して実行] を選択します。
「ファイル名を指定して実行」のボックスに「Outlook.exe /cleanrules」と入力し、 をクリックします。
これでクライアントとサーバーのルールが削除されます。場合によっては、新しいOutlookプロファイルを作成する必要があります 。
上記の手順で解決しない場合は、Outlook Web Accessにアクセスしてルールを削除します。
ハードウェアのチェック: メモリ診断ツールなどを使い、ハードウェアに異常がないか確認します。必要があれば、メモリやハードディスクを交換します。
ネットワークの確認: ネットワーク接続が安定しているか確認します。ルーターやネットワークケーブルなどをチェックし、必要があれば交換または修理します。
セキュリティソフトウェアの設定: セキュリティソフトウェアの設定を見直し、Microsoft 365アプリの動作を阻害していないか確認します。必要があれば、セキュリティソフトウェアを一時的に無効化するか、例外設定を追加します。
Officeの修復: コントロールパネルからOfficeの修復機能を実行してみてください 。
システムファイルのチェック: システムファイルの破損が原因でクラッシュが発生する可能性があります。コマンドプロンプトで「sfc /scannow」を実行し、システムファイルの整合性をチェックします。
追加情報と参考資料
Microsoftの公式サポートページ では、OutlookやMicrosoft 365アプリのクラッシュに関する情報やトラブルシューティングのヒントが提供されています。
Microsoftコミュニティフォーラム では、同様の問題に直面しているユーザーからの質問や解決策が共有されています。
Outlook の問題を自動的に診断して修正するのに役立つ「Support and Recovery Assistant for Office 365」ツール も活用できます。
まとめ
Windows Server環境でクラシックOutlookやMicrosoft 365アプリがクラッシュする問題は、ユーザーの業務効率に大きな影響を与える可能性があります。原因としては、ソフトウェアの互換性、Outlookのルールの破損、ハードウェアの不具合、ネットワークの問題、セキュリティソフトウェアの影響、Office アプリケーションの破損など、様々な要因が考えられます。
この記事で紹介した解決策を試すことで、多くの場合、問題は解決するはずです。特に、ソフトウェアのアップデート、以前のバージョンへのロールバック、Outlookのルールの削除は有効な手段となります。
もし、問題が解決しない場合は、Microsoftの公式サポートページを参照するか、コミュニティフォーラムで質問してみることをお勧めします。また、日頃からソフトウェアを最新の状態に保ち、重要なデータのバックアップをとることで、クラッシュによる影響を最小限に抑えることができます。