インテルは、従来のCore iシリーズの進化版となる、AI処理に重点を置いた高性能CPU「Core Ultra」シリーズを2024年10月に発表しました。
Core Ultraは、デスクトップPC向けに設計されており、ゲーミング、コンテンツ作成、AI処理など、幅広い用途で快適なPC環境を実現できます
本記事では、デスクトップ版Core Ultra CPUの仕様、性能、特徴について解説し、PC自作を検討しているユーザーが購入を判断する際の参考となる情報を提供します。
CPUのアーキテクチャと製造プロセス
デスクトップ版Core Ultra CPUは、最新の「Arrow Lake」アーキテクチャを採用し、TSMCのN3Bプロセスで製造されています 。
このアーキテクチャは、高性能な「Pコア」と高効率な「Eコア」を組み合わせたハイブリッド構成を採用しています 。Pコアは、高負荷な処理に優れた性能を発揮し、Eコアは、バックグラウンド処理や省電力性に貢献します。処理内容に応じて最適なコアを使用することで、高いパフォーマンスと低い消費電力を両立しています 。
コア数、クロック周波数、キャッシュサイズなどの主要な仕様
デスクトップ版Core Ultra CPUのラインナップは、Core Ultra 9、Core Ultra 7、Core Ultra 5の3つのグレードに分かれています 。各グレードの主な仕様は以下の通りです。
【表1】Core Ultra 200S シリーズの主なスペック | |||
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モデルナンバー | Core Ultra 9 285K | Core Ultra 7 265K | Core Ultra 5 245K |
開発コードネーム | Arrow Lake-S | Arrow Lake-S | Arrow Lake-S |
CPUアーキテクチャ | Lion Cove + Skymont | Lion Cove + Skymont | Lion Cove + Skymont |
製造プロセス(CPU) | TSMC N3B | TSMC N3B | TSMC N3B |
Pコア数 | 8 | 8 | 6 |
Eコア数 | 16 | 12 | 8 |
CPUスレッド数 | 24 | 20 | 14 |
L2キャッシュ | 40MB | 36MB | 26MB |
L3キャッシュ | 36MB | 30MB | 24MB |
ベースクロック(Pコア/Eコア) | 3.7GHz/3.2GHz | 3.9GHz/3.3GHz | 4.2GHz/3.6GHz |
最大ブーストクロック(Pコア/Eコア) | 5.7GHz/4.6GHz | 5.5GHz/4.6GHz | 5.2GHz/4.6GHz |
iGPU | Intel Graphics | Intel Graphics | Intel Graphics |
iGPUアーキテクチャ | Xe-LPG | Xe-LPG | Xe-LPG |
GPUコア数 | Xeコア=4基 | Xeコア=4基 | Xeコア=4基 |
GPUクロック | 2,000MHz | 2,000MHz | 1,900MHz |
NPU | Intel AI Boost (NPU3) | Intel AI Boost (NPU3) | Intel AI Boost (NPU3) |
NPUピーク性能 | 13 TOPS | 13 TOPS | 13 TOPS |
対応メモリ | DDR5-6400 | DDR5-6400 | DDR5-6400 |
PCI Express | PCIe 5.0 x20 + PCIe 4.0 x4 | PCIe 5.0 x20 + PCIe 4.0 x4 | PCIe 5.0 x20 + PCIe 4.0 x4 |
PBP | 125W | 125W | 125W |
MTP | 250W | 250W | 159W |
TjMax | 105℃ | 105℃ | 105℃ |
対応ソケット | LGA1851 | LGA1851 | LGA1851 |
グレード | コア数(Pコア + Eコア) | 最大ブーストクロック | キャッシュ | 内蔵グラフィックス |
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Core Ultra 9 | 8 + 16 | 5.7Ghz | 36MB | Intel Graphics |
Core Ultra 7 | 8 + 12 | 5.5Ghz | 30MB | Intel Graphics |
Core Ultra 5 | 6 + 8 | 5.2Ghz | 24MB | Intel Graphics |
ゲーミング性能
Core Ultra 200Sシリーズは、ゲーミング性能においても優れたパフォーマンスを発揮します。 Core Ultra 9 285KとGeForce RTX 4090の組み合わせでは、高解像度でも快適にゲームをプレイできるほどの性能を実現しています。 さらに、Core Ultra 9 285Kは、シングルスレッド性能において、Core i9-14900KやRyzen 9 9950Xなどの競合製品を上回っています 。これは、シングルスレッド性能に依存するゲームにおいて、Core Ultra 9 285Kが有利であることを示唆しています。 また、Core Ultra 285HXは、前世代と比較して最大41%の性能向上を実現しています 。今後のBIOSアップデートにより、更なるゲーミング性能の向上が期待されています 。
コンテンツ作成性能
Beyond gaming, Core Ultra CPUs also excel in demanding content creation workflows. Core Ultra CPUは、高性能なPコアとEコアを搭載することで、動画編集や画像処理などのコンテンツ作成においても高いパフォーマンスを発揮します 。Pコアが動画エンコードなどの重い処理を高速にこなし、Eコアがバックグラウンドで動作するアプリケーションを効率的に管理することで、スムーズな作業環境を実現します 。多くのコアとスレッドを活用することで、複数のアプリケーションを同時に実行したり、重い処理を高速にこなしたりすることが可能です 。
AI処理性能
Core Ultra CPUは、AI処理に特化した「NPU (Neural Processing Unit)」を搭載している点が最大の特徴です 。NPUは、ディープラーニングなどのAI処理を高速に実行することができ、AIを活用したアプリケーションのパフォーマンスを大幅に向上させます 。 例えば、画像認識、音声認識、自然言語処理などのAI機能をより快適に利用できるようになります。 NPUは、CPUやGPUにAI処理を依存するよりも、はるかに効率的にAIタスクを実行できる専用のハードウェアです 。 これにより、Core Ultra CPUは、AI処理性能において、大きなアドバンテージを獲得しています。
消費電力と発熱
Core Ultra CPUは、高性能と低消費電力の両立を目指して設計されています 。 TDP (Thermal Design Power) は125Wと、従来のCore iシリーズと同等レベルに抑えられています 。
競合製品との比較
デスクトップ版Core Ultra CPUの主な競合製品は、AMDのRyzenシリーズです 。 特に、Ryzen 9 9950X3Dは、Core Ultra 9 285Kと同様に、3D V-Cacheテクノロジーを採用したCPUであり、ゲーミング性能に優れています 。Ryzen 9 9950X3Dは、16コア32スレッド、合計144MBのCPUキャッシュ、170WのTDPを備えています 。ただし、Core Ultra CPUは、NPUを搭載している点でRyzenシリーズとは一線を画しており、AI処理性能に大きなアドバンテージがあります。
価格と発売時期
デスクトップ版Core Ultra CPUの価格は、グレードやモデルによって異なります 。 例えば、Core Ultra 7 265Kを搭載したPCは、約25万円で販売されています 。発売時期は、モデルによって異なり、Core Ultra 9 288VやCore Ultra 7 268Vは2024年第3四半期、Core Ultra 9 285KやCore Ultra 7 265Kは2024年第4四半期、その他の多くのモデルは2025年第1四半期に発売される予定です 。 FRONTIERなどのBTOメーカーから、Core Ultra CPUを搭載したPCが販売されています 。
購入を検討する際の注意点
デスクトップ版Core Ultra CPUを購入する際には、以下の点に注意する必要があります。
- マザーボードの互換性: Core Ultra CPUは、LGA1851ソケットに対応したマザーボードが必要です 。
- メモリの互換性: DDR5-6400メモリに対応しています 。
- 電源容量: 消費電力が125Wであるため、十分な容量の電源ユニットが必要です 。
現在のCPUの確認方法
PCのアップグレードを検討する際、現在のCPUを確認することは重要です。 現在のCPUとCore Ultraシリーズを比較することで、アップグレードによる性能向上が見込めるか判断することができます。 現在のCPUを確認するには、以下の方法があります 。
- スタートメニューから確認する
- タスクマネージャーから確認する
- システム情報から確認する
- コマンドプロンプトから確認する
- DirectX 診断ツールから確認する
- CPU-Zなどのツールを使用する
結論
デスクトップ版Core Ultra CPUは、AI処理性能に特化した次世代CPUです 。 高いパフォーマンスと低い消費電力を両立しており、ゲーミング、コンテンツ作成、AI処理など、幅広い用途で快適なPC環境を実現できます 。 特に、NPUを搭載している点は、AI処理の高速化に大きく貢献し、Core Ultra CPUの大きな強みとなっています。 PC自作を検討しているユーザーにとって、Core Ultra CPUは、高性能、省電力、AI処理性能を兼ね備えた魅力的な選択肢と言えるでしょう。 特に、AIを活用したアプリケーションを利用するユーザーや、将来的なAI技術の進化を見据えてPCを構築したいユーザーには、Core Ultra CPUが最適です。