はじめに
SSDは、パソコンの起動やアプリケーションの動作速度を劇的に向上させることができる、今や必須ともいえるストレージデバイスです。
しかし、SSDにはさまざまな種類や特徴があり、どれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
この記事では、あなたがSSDを選ぶ際に必要な情報を網羅的に提供することを目指します。
SSDの種類、容量、速度、耐久性、メーカー、価格相場など、SSD選びに必要な情報をわかりやすく解説します。
さらに、SSDの取り付け方法や初期設定、活用方法、よくある質問についてもご紹介します。
SSDの種類と特徴
SSDは、フラッシュメモリを使用してデータを保存する記憶媒体です。従来のHDDに比べて、データの読み書きが速く、静音性、耐衝撃性に優れ、消費電力も少ないという特徴があります。SSDには、大きく分けてSATA SSDとNVMe SSDの2種類があります。 また、SSDに搭載されるNAND型フラッシュメモリには、セルにどれくらいのデータを書き込めるかで種類が異なり、「SLC」「MLC」「TLC」「QLC」の4種類があります。 これらの種類によって、SSDの性能と耐久性が異なります。
SATA SSD
SATA SSDは、従来のHDDと同じSATAインターフェースを使用するSSDです。2.5インチHDDと同じサイズで、ケースに包まれた形状をしています。 SATA SSDの読み込み速度は500MB/秒前後で、NVMe SSDに比べると遅くなります。 しかし、価格が比較的安価であること、古いPCでも使用できるというメリットがあります。 主に、古いPCのカスタマイズ用やNASの内蔵ストレージとして使用されています。
NVMe SSD
NVMe SSDは、PCI Expressインターフェースを使用するSSDです。パソコン用のメモリチップに似ていて、基盤むき出しの形状をしています。 NVMe SSDは、SATA SSDよりも高速なデータ転送が可能です。これは、NVMe SSDがPCI Expressインターフェースを使用することで、CPUとSSD間のデータ転送をより効率的に行うことができるためです。最新のPCでは主流となっています。
NVMe SSDには、NVMe 3世代(Gen3)、NVMe 4世代(Gen4)、NVMe 5世代(Gen5)の3種類があります。 これらの世代によって、データ転送速度が異なります。
Generation | Data Transfer Speed | Read Speed | Typical Use Cases |
---|---|---|---|
NVMe 3世代(Gen3)(PCIe 3.0) | 最大で約4GB/秒 | 2,000~3,500MB/秒 | 2018年から普及。 |
NVMe 4世代(Gen4)(PCIe 4.0) | 最大で約8GB/秒 | 5,000~7,500MB/秒 | 2021年から普及。高性能なノートPC・デスクトップPCやサーバー。 |
NVMe 5世代(Gen5)(PCIe 5.0) | 最大で約16GB/秒 | 10,000~14,500MB/秒 | 2023年から普及。高性能ゲーム用デスクトップPC。 |
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M.2 SSD
M.2 SSDは、SSDのフォームファクタ(物理的な形状)の一種です。スティック状のガムのような形状をしており、ノートパソコンなどの小型PCに適しています。 M.2 SSDには、SATAインターフェースを使用するSATA M.2 SSDと、PCI Expressインターフェースを使用するNVMe M.2 SSDの2種類があります。 SATA M.2 SSDはNVMe M.2 SSDと比べて速度が遅く、容量単価も高くなる傾向にあります。
M.2 SSDのサイズは、主に以下の3種類があります。 ただし、これら以外にもサイズが存在する場合があります。
規格 | サイズ | 主な用途 |
---|---|---|
Type 2280 | 22mm × 80mm | デスクトップPC、ゲーム機 |
Type 2260 | 22mm × 60mm | ノートPC (あまり使われていない) |
Type 2242 | 22mm × 42mm | ノートPC、産業用機器 |
SSDの容量と価格の相場
SSDの容量は、120GB、240GB、480GB、1TB、2TB、4TBなど、さまざまなものが販売されています。必要な容量は、用途や保存するデータ量によって異なります。一般的に、OSやアプリケーションをインストールする場合は、500GB以上の容量があるとよいでしょう。
SSDの価格相場は、容量が大きくなるほど高くなります。 2023年5月現在、2TBのSSDは約1万9000円です。 また、SSDの価格は、NAND型フラッシュメモリの価格変動や為替レートなどの影響を受けて変動します。
SSDの読み書き速度の目安
SSDの読み書き速度は、インターフェースやSSDコントローラーの種類によって異なります。SATA SSDの読み込み速度は500MB/秒前後、NVMe SSDの読み込み速度は3,000MB/秒以上です。 SSDの読み書き速度が速いほど、パソコンの起動やアプリケーションの動作、データの読み書きが速くなります。
Windows 11の起動時間も、SSDの読み書き速度に影響を受けます。 例えば、読み書き速度が最も速いSSDとSATA SSDでは、起動時間に約7秒の差が生じることがあります。
SSDの耐久性と寿命
SSDの耐久性は、書き換え可能なデータの総容量(TBW)で表されます。TBWが大きいほど、多くのデータを書き込むことができ、寿命も長くなります。 SSDの寿命は、一般的に5年程度といわれていますが、使い方や使用環境によって異なります。 SSDの寿命に影響するポイントには、「書き込み回数」「空き容量」「使用時間」「使用環境」などがあります。
SSDの寿命を延ばすためには、以下の点に注意することが重要です。
- 無駄なデータの書き込みを減らす
- SSDの空き容量を確保する SSDの空き容量が少ないと、同じ領域に何度も書き込みが行われるため、寿命が短くなる可能性があります。
- 高温多湿や極端な低温を避ける
- 寿命が近づいてきたら、故障前に新しいSSDに交換する 寿命が近いSSDを使用し続けると、ある日突然故障して一切認識しなくなるリスクがあります。
SSDのメーカーと評判
SSDの主なメーカーには、Crucial、Kingston、Samsung、Western Digitalなどがあります。
- Crucial: Micron Technologyの子会社で、メモリやSSDを製造するメーカーです。CrucialのSSDは、コストパフォーマンスに優れていると評判です。
- Kingston: メモリやストレージデバイスを製造するメーカーです。KingstonのSSDは、信頼性が高いと評判です。
- Samsung: 韓国の総合家電メーカーです。SamsungのSSDは、高性能で、最新の技術が採用されていると評判です。
- Western Digital: HDDやSSDを製造するメーカーです。Western DigitalのSSDは、耐久性が高いと評判です。
SSDを選ぶ際には、メーカーの評判も参考にしましょう。
SSDの選び方のポイント
SSDを選ぶ際には、以下のポイントを考慮しましょう。
- 用途: パソコンの起動ドライブとして使うのか、データ保存用として使うのか、ゲーム用として使うのかによって、必要な容量や速度が異なります。例えば、ゲーム用としてSSDを使用する場合は、読み込み速度が速いNVMe SSDがおすすめです。
- 予算: SSDの価格は、容量や性能によって大きく異なります。予算に合わせて、最適なSSDを選びましょう。
- インターフェース: SSDのインターフェースは、SATAとPCI Expressの2種類があります。マザーボードが対応しているインターフェースを確認しましょう。
- フォームファクタ: SSDのフォームファクタは、2.5インチ、M.2などがあります。PCケースやマザーボードに適合するフォームファクタを選びましょう。
- 容量: SSDの容量は、用途や保存するデータ量によって異なります。必要な容量を考慮して選びましょう。
- 速度: SSDの速度は、読み込み速度と書き込み速度で表されます。速度が速いほど、パソコンの起動やアプリケーションの動作が速くなります。
- 耐久性: SSDの耐久性は、TBWで表されます。TBWが大きいほど、多くのデータを書き込むことができ、寿命も長くなります。
- メーカー: SSDのメーカーによって、性能や信頼性、価格が異なります。信頼できるメーカーのSSDを選びましょう。
- DRAMキャッシュ: SSDには、頻繁にアクセスするデータを一時的に保存する、DRAMキャッシュを搭載するモデルがあります。 DRAMキャッシュを搭載したSSDは、処理速度が速いため、パフォーマンスを重視するのであればDRAMキャッシュ搭載モデルがおすすめです。
SSDの取り付け方法
SSDの取り付け方法は、インターフェースやフォームファクタによって異なります。
2.5インチ SATA SSDの取り付け方法
- 静電気対策として、パソコンの塗装されていない金属面に触れて静電気を放電します。
- PCケースを開けて、ストレージベイの位置を確認します。
- SSDをストレージベイに固定します。
- SATAケーブルと電源ケーブルをSSDとマザーボードに接続します。
- PCケースを閉じます。
M.2 SSDの取り付け方法
- 静電気対策として、パソコンの塗装されていない金属面に触れて静電気を放電します。
- マザーボードのM.2スロットの位置を確認します。
- M.2 SSDをM.2スロットに差し込みます。
- ネジでM.2 SSDを固定します。
SSDの取り付け後の設定
SSDを取り付けた後、ストレージとして使用できるようにするためには、初期化とボリュームの割り当てが必要です。 初期化は、SSDを使用する前に必要な初期設定で、フォーマットすることで完了します。ボリュームの割り当ては、SSDにドライブ文字を割り当てることで、OSからSSDを認識できるようにする作業です。
SSDの初期設定
SSDを初めて使用する際には、初期設定が必要です。Windowsでは、ディスクの管理ツールを使用して、SSDのフォーマットを行います。
WindowsでのSSDの初期設定
- 「スタート」ボタンを右クリックし、「ディスクの管理」を選択します。
- 初期化するSSDを右クリックし、「ディスクの初期化」を選択します。
- パーティションスタイルを選択し、「OK」をクリックします。
- 初期化されたSSDを右クリックし、「新しいシンプルボリューム」を選択します。
- ウィザードに従って、パーティションを作成します。
SSDの活用方法
SSDは、OSやアプリケーションのインストール先として使用することで、パソコンの起動やアプリケーションの動作速度を劇的に向上させることができます。また、SSDをデータ保存用として使用することで、大容量のデータを高速に読み書きすることができます。
SSDとHDDを併用することで、それぞれのメリットを活かした活用方法も可能です。SSDにOSやアプリケーションをインストールし、HDDにデータを保存することで、高速な動作と大容量のストレージを両立させることができます。
まとめ
この記事では、SSDの選び方について解説しました。SSDは、パソコンの性能を向上させるための重要なパーツです。
SSDを選ぶ際には、まず用途を明確にしましょう。パソコンの起動ドライブとして使うのか、データ保存用として使うのか、ゲーム用として使うのかによって、最適なSSDの種類や容量、速度が異なります。
予算も重要な要素です。SSDの価格は、容量や性能によって大きく異なります。予算に合わせて、最適なSSDを選びましょう。
SSDのインターフェース、フォームファクタ、耐久性、メーカーなども考慮する必要があります。マザーボードが対応しているインターフェースや、PCケースに適合するフォームファクタを選びましょう。耐久性が高いSSDを選ぶことで、より長く使用することができます。信頼できるメーカーのSSDを選ぶことも重要です。