
家電量販店のパソコンコーナーを覗くと、Intel Core Ultra(Meteor Lake、以下Core Ultra)のプロモーションがすごいですね。
私はIntel信者ではないですが、Core Ultraは確かにすごい製品と思います。
Apple M1ほどではないですが、着実に進化しています。
これまでのIntel CPUと何が違うのか、自分へのメモも兼ねて解説します。
Core Ultraの概要

Core Ultraは、2023年12月に発表されたIntelのノートPC向けCPUです。
これまでIntel CPUはCore i3・i5・i7というブランド名を10年以上使ってきましたが、それが廃止されCore Ultra5・7などの名称に変わりました。
ブランド名廃止に恥じない大きな進化を遂げており、AI時代を見据えた仕上がりとなっています。
大きな進化点は
- NPUの搭載
- 電力効率化の大幅向上
- グラフィック性能向上
の3点です。
それぞれ順番に解説してゆきます。
NPUの搭載

Core Ultraは、Intel CPUとして初めてNPUが内蔵されています。
NPUとはNeural Processing Unitの略で、AI専用の処理部です。
画像認識、音声認識、AIによる画像生成・動画生成・文章生成や、WEBカメラの背景ぼかしや音声からのノイズ除去などを担当します。
これまでは、例えば画像生成するときは数十秒から数分待つ必要がありました。
これはAI処理をするサーバーが忙しいためです。
そこで、そうした処理をPC内部のCore Ultra NPUにさせることで、PC単体で高速にAI学習・計算ができるようになりました。
すでにAMD、Apple、クアルコム等がNPU搭載のSoC(CPU)をリリースしていおり、Intelもそこに加わったかたちです。
Intelは、Core UltraのAI処理性能は最大34 TOPと発表しており、

AMD Ryzen 7 7840Uとの比較では、Intel Core Ultra 7 165H は、GIMP Stable Diffusion で最大 5.4 倍、Stable Diffusion A1111 で最大 3.2 倍、Adobe Premier Proで最大 1.7 倍、Adobe Lightroom Classic (AI Photo Edit) で最大 1.5 倍、DaVinci Resolve (Render + AI Mask + Export) で最大 1.2 倍、Wondershare Filmora (A1FX + Preview + Export) で最大 1.1 倍のパフォーマンス向上を実現すると主張しています。
Core i7-1370Pとの比較では、Core Ultra 7 165H は70% 高速な生成AI パフォーマンスを発揮し、UL Procyon AI (NPU オフロード、Int8) で 2.5 倍の電力効率を実現するようです。

電力効率の向上
Core Ultraでは、電力効率も大きく向上しています。
Intel によると、Core Ultra7 165Hは同じ電力でApple M3よりも高速で、SPECrate 2017 (Int) ベンチマークでは同じ電力でAMD Ryzen 7 7840Uよりも最大11%高速になっているようです。

AMD Ryzen 7 7840Uと比較して、Core Ultra7 165H(薄型ノートPC用・TDP28W)はデスクトップアイドル時最大79%電力が削減されています。

電力効率が向上したのは、負荷の低い処理専用にLP Eコアが追加されたからです。
Core Ultraは、ハイパワーなPコア、高効率なEコア、省電力なLP Eコアの3種類のコアで構成されます。
負荷の低い処理はLP Eコアが担当し、それ以上の性能が必要になるとPコア、Eコアが呼び出されます。
もちろん、状況に応じて省電力に働く機能は従来のインテル Core プロセッサーにもありましたが、Core Ultraはさらに効率が高くなりした。
進化した内蔵GPU

Core UltraにはIntel Arcベースの内蔵GPUが採用されており、従来よりも大幅に性能が向上しています。
8基のレイトレーシングユニットを内蔵し、従来からベクターエンジン・サンプラー・ピクセルバックエンドが33%増加しました。
AV1ビデオのサポートや、AI推論処理を高速化できるDP4Aエンジンを備えたので、第13世代Coreと比較して最大2倍の性能向上、Ryzen7 7840Uとの比較では5%性能が高くなっているそうです。
近年のiGPU性能の向上には目を見張るものがあり、画質設定や解像度を落とせばゲームがそこそこプレイできるようになってきましたが、重いタイトルは動作困難だったり、やはり限界がありました。
Core Ultraの内蔵GPUなら、解像度や画質設定を落とさすゲームが快適にプレイできるかもしれません。
まとめ
Core Ultraは、ブランド名を変えるにふさわしい進化を遂げました。
猫も杓子もAIのここ数年。
クリエイティブな作業をする人は、Core Ultra搭載PCで仕事の効率が上がることは間違いありません。
一方で、
- AIを必要とする作業はしない
- ゲームはしない
- 安いパソコンでいい
という人はCore Ultraは不要になりそうです。
現時点ではCore Ultraはノート向けの製品しか出ていませんが、近い将来Intelはデスクトップ版も送り込むと思われます。
楽しみです。