Seagate製HDDは故障しやすいという噂はウソだよ

HDDといえばSeagateとWestern Digitalと言えるほどSeagateのHDDはメジャーですが、一部では「Seagate製のHDDは故障しやすい」という意見も耳にします。

そこで今回は、Seagate製HDDの故障率に関するデータや統計情報、ユーザーレビュー、専門家の意見などを総合的に分析し、Seagate製HDDは本当に故障しやすいのか、その信頼性について客観的に考察していきます。

Seagate製HDDの故障率

Seagate製HDDの故障率については、様々なデータや統計情報が存在します。Seagate自身は、HDDの年間故障率 (AFR) を0.73%（MTBF 120万時間）と公表しています 。

これは、ケース温度が40℃を超えない環境で運用した場合の数値であり、実際の運用環境によっては故障率が上昇する可能性があるとしています。  

一方で、クラウドストレージおよびデータバックアップ企業であるBackblazeが実施した調査では、Seagate製HDDの平均AFRは1.62%で、Western Digital (0.355%) やToshiba (1.134%) と比較して高い数値を示しています 。  

Backblazeの調査データの詳細

Backblazeは、自社データセンターで運用しているHDDの故障率に関する統計データを定期的に公開しており、そのデータ量は膨大です。

• 2024年第2四半期の調査 では、Seagateの14TBモデル (ST14000NM000J) と16TBモデル (ST16000NM002J) で故障がゼロ件 reportedされました。14TBモデルはドライブ数と稼働日数が少ないものの、16TBモデルは0.57%という低い生涯故障率を記録しています。また、6TBモデル (ST6000DM003) は、9年間（108ヶ月）の運用で0.86%という優れた生涯AFRを達成しました。  
• 60ヶ月以上運用されたSeagate製HDDの故障率 では、6TBモデルが0.86%の生涯AFRを記録し、8TB、10TB、12TBモデルは、いずれも運用期間中に故障率の上昇が見られました。4TBモデルは、交換プロセスによるものか、故障率が時間の経過とともに横ばいになったためか、ほぼ垂直な故障率を示しています。  
• 14TBモデル ST14000NM0138 の故障率 については、情報がありませんでした。  

これらのデータから、Seagate製HDDの故障率はモデルや運用期間によって大きく異なることが分かります。

Seagate製HDDの故障予兆

Backblazeの運用チームによると、Seagate製HDDは、故障が発生する前にSMART統計を通じて予兆を示すことが多いとのことです 。この点は、ユーザーにとって大きなメリットと言えるでしょう。  

他社製HDDとの比較

Seagate製HDDの故障率を他社製HDDと比較したデータは以下の通りです。

このデータから、Seagate製HDDの故障率は、他社製HDDと比較して必ずしも高いとは言えないものの、低いとは言えないことも分かります。

Seagate製HDDの故障に関するユーザーレビュー

Seagate製HDDの故障に関するユーザーレビューは、肯定的なものから否定的なものまで様々です。

Redditのフォーラム では、「Seagate製のHDDは購入後すぐに故障した」という意見や、「7年間問題なく動作している」という意見など、様々な意見が見られました。また、別のRedditフォーラム では、Seagate製HDDの故障に関する議論があり、「購入直後に故障したという報告がある一方で、7年間問題なく動作しているという報告もある」という意見が出ていました。  

Linus Tech Tipsのフォーラム では、「Seagate製のHDDは価格が手頃で、故障率も許容範囲内」という意見が見られました。  

これらのユーザーレビューから、Seagate製HDDの故障率には個体差があり、一概に故障しやすいとは言えないことが分かります。

Seagate製HDDの製品保証とサポート体制

Seagateは、HDDに対して、製品や販売地域によって異なる期間の限定保証を提供しています 。保証期間は、Seagate OEM、販売代理店、または小売業者への製品出荷日から開始されます 。Seagateが公表している限定保証期間または製品パッケージに記載されている製品保証期間のいずれか長い方が、Seagate保証の有効期限となります。Seagateとの個別の契約により、保証条件がこれらの一般条件と異なる場合があります。  

一般的なコンシューマー向けHDDの保証期間は、1年から5年です 。保証期間内であれば、SeagateのWebサイト または正規販売店を通じて、修理または交換を依頼することができます。  

Seagateのサポート体制については、Webサイト、電話、またはメールで問い合わせることができます 。ただし、保証サポートは12ヶ月に制限されていることに注意が必要です 。  

専門家の意見

専門家や技術者の意見も、Seagate製HDDの信頼性について様々な見解を示しています。

Platinum Data Recoveryの専門家 は、Seagate製HDDの信頼性について、「モデルや運用環境によって異なる」と述べています。  

Seagateは、高度なHAMR技術により、従来のHDDの寿命である4～5年をはるかに超える耐久性を実現できると主張しています 。Seagateのデータによると、HAMR技術を搭載したHDDは、7年以上使用できる可能性があるとのことです。  

一方で、Hacker Newsのコメント では、「Seagate製HDDは品質が低い」という意見も見られました。  

これらの意見を総合的に見ると、Seagate製HDDの信頼性については、専門家の間でも意見が分かれていることが分かります。

結論

今回の調査結果を総合的に見ると、Seagate製HDDは必ずしも故障しやすいとは言えません。Seagate製HDDの故障率は、モデルや運用環境、使用方法によって大きく異なることが分かりました。

Backblazeの調査では、一部のSeagate製HDDで高い故障率が報告されている一方で、故障率が低いモデルや、長期間安定して稼働しているモデルも存在します。また、Seagate自身も、HAMR技術など、HDDの信頼性向上に取り組んでいます。

HDDを選ぶ際には、価格だけでなく、信頼性や性能、保証、サポート体制など、様々な要素を考慮することが重要です。Seagate製HDDを選ぶ場合は、Backblazeなどの信頼できる第三者機関の調査データを参考に、自身の使用用途に適したモデルを選ぶようにしましょう。

補足

• 本記事で引用したデータや統計情報は、特定の期間や条件下で収集されたものであり、すべてのSeagate製HDDの故障率を代表するものではありません。
• HDDの故障は、製造上の欠陥だけでなく、使用方法や運用環境、外的要因など、様々な原因で発生する可能性があります。
• HDDの故障を防ぐためには、定期的なバックアップ、適切な温度管理、衝撃や振動を避けるなど、日頃から注意を払うことが重要です。