ネットの一部では「Seagate製のHDDは故障しやすい」という意見を目にします。
クラウドストレージプロバイダーのBackblazeが、28万台以上のHDDから故障統計を取った結果が興味深いので紹介します。
結論から言うと、SeagateのHDDは東芝やHGST、Western DigitalのHDDと比較して全体的に故障率が高く、特に4TB、12TB、14TBは著しく故障率が高くなっています。
Seagate自身の公称故障率
Seagate製HDDの故障率について、Seagate自身は、ケース温度が40℃を超えない環境で運用した場合
HDDの年間故障率 (AFR) は0.73%(MTBF 120万時間)だったと公表しています。
The product shall achieve an Annualized Failure Rate - AFR - of 0.73% (Mean Time Between Failures - MTBF - of 1.2 Million hrs) when operated in an environment that ensures the HDA case temperatures do not exceed 40°C.
Seagate:Hard disk drive reliability and MTBF / AFR
一方で、クラウドストレージおよびデータバックアップ企業であるBackblazeが実施した調査では、Seagate製HDDの平均AFRは1.62%で、Western Digital (0.355%) やToshiba (1.134%) と比較して高い数値を示しています 。
BackblazeのデータでSeagateの故障率の高さが浮き彫りに
クラウドストレージプロバイダーのBackblazeは、自社データセンターで運用している28万台以上のHDDから故障統計データを定期的に公開しています。
2024年第2四半期のデータが公開されているので、見てみます。
Backblaze Drive Stats for Q2 2024
2024年第2四半期の調査では、以下の3つの条件を満たしたHDDを基に統計が取られました。
- 同一の100台以上のサンプルがある
- メーカーの温度仕様を超えていない
- 10,000日以上(約3年)稼働している
2024年第2四半期にBackblazeが運用したHDDは全29モデルあり、運用台数が最多だったのは16TBの東芝「MG08ACA16TA」で3万8803台でした。
なお、累計稼働日数は351万7575日、故障回数は114回で、故障率は1.18%でした。
そして、Seagateの14TBモデル (ST14000NM000J、サンプル139) と16TBモデル (ST16000NM002J、サンプル462) の故障はゼロだったことも明らかになっています。優秀です。
次に、HDDの生涯故障率のデータです。
- 同一の500台以上のサンプルがある
- 累計10万日以上稼働している
という2つの条件を満たしたHDDモデルに絞ると、以下の表の25グループに分類されました。
このデータから読み取れることは、以下の3点です。
- 故障率の高いワースト3はすべてSeagate HDD
- Seagate ST14000NM0138は故障率が特に高い
- HGSTのHDDは容量を問わず優秀
スネークチャートではSeagate 4TBの故障率が目立つ
さらに、Blackblazeは、2024 年第 2 四半期末時点で
- 平均使用期間が5年(60か月)以下
- 累計100万日以上稼働している
の2つの条件を満たしたHDDモデルの生涯故障率を表したスネークチャートを作成しています。
Seagate ST4000DM000(4TB)が最も故障率が高く、経過地点関係なく一定の悪さです。
次いでSeagate ST10000NM0086(10TB)、Seagate ST8000NM0055(8TB)と続いています。
まとめ
以上のデータから、「Seagate製HDDは故障率が高い」という噂は本当だったことがわかります。
モデルや運用期間によって故障率は変わるものの、HGSTやWestern DigitalのHDDと比較すると総じて故障率が高めです。
一方、HGSTのHDDは総じて故障率が低く優秀であることもわかります。
新しくHDDを買うときは、積極的にHGSTを選ぶと安心できるかもしれません。
Seagate製HDDの製品保証とサポート体制
Seagateは、HDDに対して、製品や販売地域によって異なる期間の限定保証を提供しています。
保証期間は、Seagate OEM、販売代理店、または小売業者への製品出荷日から開始されます 。Seagateが公表している限定保証期間または製品パッケージに記載されている製品保証期間のいずれか長い方が、Seagate保証の有効期限となります。
Seagateとの個別の契約により、保証条件がこれらの一般条件と異なる場合があります。
一般的なコンシューマー向けHDDの保証期間は、1年から5年です。
保証期間内であれば、SeagateのWebサイト または正規販売店を通じて、修理または交換を依頼することができます。
Seagateのサポート体制については、Webサイト、電話、またはメールで問い合わせることができます 。
ただし、保証サポートは12ヶ月に制限されていることに注意が必要です 。
補足
- 本記事で引用したデータや統計情報は、特定の期間や条件下で収集されたものであり、すべてのSeagate製HDDの故障率を代表するものではありません。
- HDDの故障は、製造上の欠陥だけでなく、使用方法や運用環境、外的要因など、様々な原因で発生する可能性があります。
- HDDの故障を防ぐためには、定期的なバックアップ、適切な温度管理、衝撃や振動を避けるなど、日頃から注意を払うことが重要です。
- HDDを選ぶ際には、価格だけでなく、信頼性や性能、保証、サポート体制など、様々な要素を考慮することが重要です。