近年、HEIC(HEIF)形式の写真を見る機会が増えました。
本記事では、HEIC(High Efficiency Image Format)について詳しく解説します。
HEICは、AppleがiOS 11からiPhoneやiPadの標準画像フォーマットとして採用した、高効率な画像ファイル形式です。
従来のJPEGに比べて、ファイルサイズが小さく、画質が良いという特徴があります。
HEICとは?
HEICは、HEIF(High Efficiency Image File Format)という画像ファイル形式の拡張子の一つです。HEIFは、動画圧縮技術であるHEVC(High Efficiency Video Coding/H.265)を画像に応用したもので、同じ画質を維持しながら、JPEGよりも大幅にファイルサイズを小さくできます。
HEICの特徴
- 高い圧縮率: JPEGと同等の画質で、約半分のファイルサイズに圧縮できます。これにより、iPhoneやiPadなどのデバイスでより多くの写真を保存できます。ストレージ容量の節約に大きく貢献します。
- 高画質: 同じファイルサイズであれば、JPEGよりも高画質な画像を保存できます。特に色の再現性に優れており、より鮮やかで自然な色合いを表現できます。
- 透過(アルファチャンネル)に対応: PNGと同様に、画像の背景を透過させることができます。これにより、ロゴやアイコンなどをウェブページに綺麗に配置できます。
- 16bitカラーをサポート: JPEGが8bitカラーまでしか対応していないのに対し、HEICは16bitカラーをサポートしているため、より豊かな色彩表現が可能です。
- アニメーションに対応: 複数の画像を格納することで、GIFアニメーションのようなアニメーション表現も可能です。
HEICのメリット
- ストレージ容量の節約: 高い圧縮率により、デバイスのストレージ容量を有効活用できます。特に写真や動画をたくさん撮影するユーザーにとって大きなメリットとなります。
- 通信量の削減: ウェブサイトなどでHEIC画像を使用することで、データ通信量を削減できます。モバイル回線を使用している場合などに効果を発揮します。
- 高画質の維持: 従来のJPEGよりも高画質な画像をより小さいファイルサイズで保存できるため、画質と容量のバランスに優れています。
HEICのデメリット
- 互換性の問題: HEICは比較的新しいフォーマットのため、古いOSやソフトウェアでは対応していない場合があります。Windowsでは、一部バージョンでは標準では開けません。macOSではHigh Sierra以降で標準対応しています。
- 編集ソフトの対応: 一部の古い画像編集ソフトでは、HEICの編集や保存に対応していない場合があります。
HEICの変換方法
HEICファイルを開けない環境では、JPEGなどの汎用的なフォーマットに変換する必要があります。以下の方法で変換できます。
- オンライン変換ツール: インターネット上で提供されているオンライン変換ツールを利用すると、手軽にHEICをJPEGなどに変換できます。
- 画像編集ソフトを使用: PhotoshopやGIMPなどの画像編集ソフトで、HEICを読み込んでJPEGなどで保存できます。
- Windowsのフォトアプリ: Windows 10/11では、HEIC画像を開こうとすると、Microsoft StoreからHEICコーデックをダウンロードするよう促されます。コーデックをインストールすることで、フォトアプリでHEIC画像を開いたり、JPEGに変換したりできます。
- CopyTrans HEIC for Windows: Windows環境でHEICファイルをJPEGに変換するためのフリーソフトウェアです。Windowsエクスプローラーで右クリックメニューから簡単に変換できます。
- macOSのプレビューアプリ: macOSでは、プレビューアプリでHEIC画像を開き、「ファイル」メニューから「書き出す」を選択することで、JPEGなどの形式で保存できます。
まとめ
HEICは、高画質と高圧縮を両立した優れた画像フォーマットです。デバイスのストレージ容量を節約し、通信量を削減するのに役立ちます。互換性の問題は徐々に解消されつつあり、今後ますます普及していくことが予想されます。HEICファイルに遭遇した場合は、上記の方法で変換するなどして対応しましょう。
HEIF(HEIC)について
まず、HEIFとHEICは拡張子が違うだけで同じものです。
本記事では、以下HEIFで表記します。
HEIFは「High Efficiency Image File Format」の略で、直訳は「高効率画像ファイルフォーマット」、読み方は「ヒーフ」です。
HEIFはJPGと比較して圧縮率、画質の面で優れていますが、新しい規格なので古いOSや機器では表示できないことがあります。
HEICとJPGの違い
圧縮率
HEIFは圧縮率が高く、画質を損なうことなくJPGの半分程度のファイルサイズにできます。
ファイルサイズを小さくするためのトレードオフが「非可逆」圧縮と呼ばれるもので、JPEGを編集して保存を繰り返すたびに、背景データが少しずつ失われます。そのため、画質に影響が出ることがあります。
たとえばiPhoneで撮影した2.6MBの画像が、「HEIF(.heic)」なら1.3MBまで圧縮される。「.jpg」でこれだけ画像を圧縮してしまうと被写体がギザギザになったり、色の境界線が滲んでしまったりと劣化しますが、「HEIF(.heic)」ならその心配は限りなく少なくなります。
画質
圧縮率と画質のどちらの点でも、HEICファイルの方がJPEGよりも優れています。
特長として10bit画像のサポートが挙げられる。「.jpeg」で表現できる色はRGBの各色8bitで最大24bit(約1,677万色)が上限となっているが、「HEIF(.heic)」では各色10bit、計30bitで最大約10億6,433万色を表現できる。
HEIC形式には、透過や広いダイナミックレンジなど、写真の画質を高める効果があるからです。
互換性
JPEGファイルはHEICよりも歴史が長く、OS、ソフトウェア、デバイス間で比較的高い互換性を持ちます。
JPEGは、Windows、MacのコンピューターでAdobe Photoshop、GIMPなど編集が簡単にできる形式です。
またほとんどの最新のwebブラウザーでは、ファイルをドラッグ・アンド・ドロップするだけでJPEGを表示できます。
JPEGは汎用性の高いファイル形式ですが、HEICファイルはそうではありません。HEICは近年普及してきましたが、主にApple社製の機器で使用されています。iPhoneからPCに 写真を転送する際は、HEICファイルをJPEGに変換する必要があることがあります。
透過機能
HEICは、PNGファイルと同じく、画像の透過機能をサポートしています。
透明機能は、ロゴやグラフィックなどの画像を、webページの既存の背景に溶け込ませることができるため、webデザインでは非常に便利です。
一方のJPEG形式は透過機能に対応していません。そのため、webサイトのデザインでは柔軟性に欠け、ロゴにも適しません。
編集機能
JPEGは非可逆ファイル形式のため、画像を編集して保存するたびに、少しずつデータが失われます。
つまり、編集を繰り返すたびにデータが破壊されていくため、次第にファイルの画質が低下します。
HEICも非可逆ファイル形式ですが、比較的画質が維持される傾向があります。
また、編集情報も保存されるため、一度編集した画像を後で元に戻すことができます。
各社のHEIF(HEIC)対応情報
Apple
iPhone | iOS11以降 |
iPad | iOS(iPadOS)11以降 |
Mac | macOS 10.13 High Sierra以降 |
https://developer.apple.com/videos/play/wwdc2017/513
Android
Android9以降
Windows
Windows10 | Ver 1809以降で、Microsoft Storeから拡張機能インストールする必要あり |
Windows11 | Ver22H2以降なら 「HEIF 画像拡張機能」と「HEVC ビデオ拡張機能」無料の拡張機能で対応 それ未満は120円支払う必要あり |
Windows10