USBがわけのわからないことになっている
USB-Cが登場してしばらく経ちますが、バージョンや仕様がややこしく訳のわからないことになってきました。
メモとして、一通り解説します。
USB-Cとは
USB-CはUSBの形状の規格です。2015年前後に登場しました。
小型でリバーシブル、多機能なのが特徴です。
パソコンで使われている「普通のUSB端子(長方形でウラオモテのある形状のもの)」は、正式には「USB-A」という規格です。
最近のパソコンは、USB-AとUSB-Cを両方搭載しているものが多いです。
Androidスマートフォンは、今ではほとんどがUSB-Cに移行しました。
iPhoneは、iPhone15でようやくLightningからUSB-Cに移行しました。
USB-C は多機能
補足です。
USB-Cは①給電、②データ転送に加え③映像転送と④音声転送等も可能で、ポート1つで様々な役割をこなせます。
これまでパソコン分野では、映像出力にはそれ専用のD-SubやHDMI、DisplayPortという規格端子を使う必要があり、音声のやり取りにはピンジャック、ミニジャック等を使う必要がありました。
USB-Cの登場によりこれらが1つに集約されたのは非常に合理的で、ケーブルがすっきりするうえ様々なコストが軽減するため、メリットがすごく大きいわけです。
そのためパソコン分野ではUSB-C化が進むほど、メリットが大きくなります。
一方スマートフォンでは、USB-C化によるメリットは小さめです。
リバーシブルで抜き差しがしやすくなったのと、形状が共通化されたことによって知人・友人間でケーブルを貸し借りしやすくなった程度でしょう。
USB2.0とUSB3.1・Gen1とGen2などの違い
ここから突如ややこしくなってきます。
まず、USB2.0やUSB3.0、USB3.1、USB3.2 Gen2、USB4 etc...はUSBの世代のことで、最大データ転送速度に差があります。
USB3.0は、USB3.1 Gen1・USB3.2 Gen1と同じ(データ転送速度5Gbps・給電能力が5Vで900mA)で、端子規格はUSB-AとUSB-C両方あります。
データ転送速度 | 端子規格 | |
USB3.0 | 5Gbps (500MB/s) | USB-A・USB-C |
USB3.1 Gen1 | 5Gbps (500MB/s) | USB-A・USB-C |
USB3.2 Gen1 | 5Gbps (500MB/s) | USB-A・USB-C |
そして、USB3.1 Gen2はUSB3.2 Gen2と同じ(データ転送速度10Gbps・給電能力が5Vで1,000mA)で、こちらもUSB-AとUSB-C両方あります。
データ転送速度 | 端子規格 | |
USB3.1 Gen2 | 5Gbps (500MB/s) | USB-A・USB-C |
USB3.2 Gen2 | 5Gbps (500MB/s) | USB-A・USB-C |
USB3.2 Gen1 | 5Gbps (500MB/s) | USB-A・USB-C |
つまり、データ転送速度10GbpsまでのUSBバージョンでは、USB-A端子とUSB-C端子両方存在します。
USB3.2Gen1のUSB-Aもあれば、USB2.0のUSB-Cもあるわけです。
USB3.2には、USB3.2 Gen2×2(20Gbps)というバージョンもあります。これはUSB-Cのみです。
USB4.0について
USB4は、USB3.2の新バージョンとして2019年8月に登場しました。
USB4は必ずUSB-Cで、Tunderbolt3プロトコル仕様に基づいています。
USB4には、以下の3種があります。
- USB 20Gbps (USB4 Gen2 2×2)
- USB 40Gbps (USB4 Gen3 2×2)
- USB 80Gbps (USB4 Gen4 2×2)
まとめ
まとめると、以下の表のようになります。
データ転送速度 | USB-A | USB-C | |
USB2.0 | 480Mbps (60MB/s) | 〇 | 〇 |
USB3.0 USB3.1 Gen1 USB3.2 Gen1 | 5Gbps (500MB/s) | 〇 | 〇 |
USB3.1 Gen2 USB3.2 Gen2 | 10Gbps (1.2GB/s) | 〇 | 〇 |
USB3.2 Gen2×2 | 20Gbps (2.4GB/s) | × | 〇 |
USB4 Gen2 2×2 | 20Gbps (2.4GB/s) | × | 〇 |
USB4 Gen3 2×2 | 40Gbps (4.8GB/s) | × | 〇 |
USB4 Gen4 2×2 | 80Gbps (9.6GB/s) | × | 〇 |
もうめちゃくちゃで、これでは普通の人は理解不能になるのは当然です。
USBは、USB→USB2.0→USB3.0と1ずつ数字が増えていたのに、なぜ突然小数点以下だけ増やしGenという単語を添えたのか理解に苦しみます。
USB PDとは
スマートフォンやタブレットの充電器を探していると、「USB PD」という単語もちょくちょく出てくるので、気になる人がいると思います。
USB PDは「USB Power Delivery」の略称(規格)で、USB-Cに対応した給電規格です。
従来の規格ではUSB2.0で最大2.5W(5V/500mA)、USB3.0(3.2 Gen1)で最大4.5W(5V/900mA)の電力供給しかできず、せいぜいスマートフォンなどへの給電にしか使用できませんでしたが
USB PD規格では、1本のUSBケーブルで最大240W(48V/5A)の電力供給を行うことができます。
これによって、消費電力の大きいノートパソコンなどへの電力供給ができるようになります。
「USB PDに対応」と書いてあれば、高速充電に対応している、と認識しておけばいいでしょう。